夏目坂から裏路地に入った民家の玄関先に、コスモスの鉢植えがありました。11月末の寒さの中、鮮やかに咲いています。
コスモスを離れし蝶に谿(たに)深し水原秋櫻子
(『365日で味わう美しい季語の花』誠文堂新光社、p.192)
コスモスのゆれかはしゐて相うたず鈴鹿野風呂
(『俳句の花図鑑』成美堂出版、p.341)
本年9月に東京堂出版から『日本語で引ける 英語表現使い分け辞典』(牧野高吉編著)が刊行されました。弊社も編集をお手伝いしました。
この本は、意味の似た単語・語句の使い分けが、わかりやすい例文と解説で理解できるように編まれています。
例えば「上」という見出しを引いてみましょう。on、over、above、upの使い分けが一目瞭然です。
また例えば、correct、accurate、precise、exactの使い分けってわかりますか? 「正確な」の項を見てみましょう。なるほど、と思いますよ。
英語の受信・発信に磨きをかける好適な1冊だと思います。
少し前になりますが、本年6月に東京堂出版から『東京堂 類語辞典』が刊行されました。弊社も編集に協力させていただきました。
1955年に初版が出た歴史ある辞典の新装版です。見出し語はカテゴリー別ではなく五十音順に配列されているので、引きたい語にすぐにたどりつくことができます。また、古語や方言の情報が豊富に収録されている点も、この辞典の魅力のひとつです。例えば、「あなた〔貴方〕」の項を見ると
貴君(きくん)・貴殿(きでん)・貴所(きしょ)・貴下(きか)・足下(そっか)・尊下(そんか)・尊台(そんだい)……
〔古語〕みまし・な・なれ・なんぢ・そち……
〔方言〕あいて(奈良・三重・和歌山)・あが(高知・長崎・鹿児島)・あじゃ(三重・和歌山)……
文章を練るときなど、座右の書として利用したい一冊です。
弊社が入っているビルは、地下鉄の早稲田駅前から延びる夏目坂通りという坂道に面しています。坂の下の吉野家の前には「夏目漱石誕生之地」の碑があります。
なんでも、漱石の父親が自分の姓に因んでこの坂に名をつけたのだそうです。漱石の『硝子戸(ガラスど)の中(うち)』(大正四年に新聞に連載)という作品に次の一節があります。
父はまだその上に自宅の前から南へ行く時に是非とも登らなければならない長い坂に、自分の姓の夏目という名を付けた。(岩波文庫版 p.67)
私も毎朝この坂道を上って通勤していますが、文豪ゆかりの地に会社があるというのは、ちょっと嬉しい気がしますね。
『硝子戸の中』には漱石が生きた時代の弊社の近辺の様子がいろいろと書かれています。これから何回かに分けて紹介していきましょう。